第17章 代替品の恋慕
「なぜ、そう思うんです?」
トキヤがあまりに自信たっぷりな瑛一に
少し怯み始める。
「瑛二のデュエットプロジェクトのとき、
久々に会ったアイツは
もう昔のままじゃないと
瞳で俺に語っていた。
俺の目の前で、
もう弱い姿は見せないと
誓っていたはずのアイツが
俺を頼ったということは…
お前たちが頼りないということだ。
そして、その原因が
神宮寺レンの裏切りにあるなら、
お前たち全員に裏切られることを恐れて
誰にも頼ることが出来なかったとしか
考えられない。」
それなりに〇〇のことを理解している瑛一は
彼女の思考パターンまで把握している。
だが、それは瑛一だけでは無い。
彼の考えを聞いて、
彼女の思考パターンを考えるとありえない話ではないと
3人も納得してしまった。
「例えそうだとしても、
〇〇を
手放す気はねぇ。
レンのことは直接レンに聞く。
お前が口を出すな。」
丸め込まれそうな所を
蘭丸が言い返し、
「そうだ。
神宮寺のことは知らんが、
俺は〇〇以外を考えてはいない。」
とカミュも続く。
「だが、既にあいつを独りにしている。」
しかし、瑛一も譲らない。
「独り?
彼女が孤独だということですか?」
トキヤが聞き捨てならないという表情。
「ああ。
お前達…アイツが人一倍
寂しがり屋で
甘えたがりで
愛されたがり…って知らないのか?」
瑛一のこの言葉に
〇〇に甘やかされてばかりの彼らは
キョトンとする。
「愛されたがりは分かるが…
甘えたがり?
甘やかし上手の間違いだろ?」
と、蘭丸が言うと
「……フッ…
やはり、お前達にも本性を
隠しているんだな。
結構なことだ。
お前達はアイツの過去を知らない。
知ろうとしてない。
それは、過去にアイツを傷つけた俺と
同じところで立ち止まっているということ。
そのまま付き合っていても、
どうせ別れる結果になる……
フッ…ククク…お前たちが
別れるのを静かに待つのもイイな!
そうだ。そうしよう!」
と両手を広げて悦に浸る瑛一。
「過去?…
事件のことですか?」
トキヤが”ストーカー”とあえて言わずに
聞き返すと、
「クク…違う。
もっと昔だ。
あいつは家族に愛されずに育っている。
それだけ言っておこう…」
と返される