第17章 代替品の恋慕
「なっ……」
すぐには言葉が出ない3人。
あんなに色んなものに慈しみを向ける彼女が
家族に愛されていなかった?
愛情たっぷりに育ったような顔をして…
彼女の心はずっと孤独だったのか?
これ以上言う気はないと言った様子の瑛一に
聞きたいことが山ほどあったが、
「……フン…
情報提供、感謝する。
これであやつのことを調べるきっかけができた。
洗いざらい、あやつの過去について
調べ尽くしてやる。」
と自分たちで調べる道を選ぶ。
〇〇についての情報戦で負けたのが
相当悔しいのか、
目の奥をギラつかせるカミュ。
「ククク……イイッ!
この場にいる全員で
〇〇への愛を証明しようではないか。」
「だからテメーは引っ込んでろ。」
元カレ×1と今カレ×3が
〇〇を巡って
バチバチと火花を散らす。
**
一方、
そんなことになっているとも露知らず
『………ていうことがあって…』
「……なるほどね。
だからあの状況…」
菱の運転で帰路に着いている〇〇。
プライベートモードの菱に涙ぐみながら
レンのこと、瑛一のこと、春歌のこと、
今日の出来事を話す。
「……で、相変わらず
去る者は追わないつもり?」
と、菱に聞かれ、
『…(コク…』
と頷く。
「……そう…
(まぁ、それはそうよね。
4人と付き合って
全員揃ってハッピーエンドなんて
都合が良すぎるか……)
また何かあったら
相談くらいは乗れるから…」
と優しい笑顔を向ける菱。
『うん。ありがとう(∵`)』
〇〇は溢れる涙をハンカチで拭いながら
大きな月を眺めて、
心地よい揺れに身を委ねた。
これからの5人の関係に
大きな不安を抱きながら…
END