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【R18】欲ばりに花束を。[うたプリ]

第17章 代替品の恋慕



**

〇〇side

『ハァ…ハァ…』

(どれくらい走ったんだろう…)

撮影場所からだいぶ離れた場所まで来て、
少し屈んで息を整える〇〇。

すると

「おい…どうかしたのか…」

と声を掛けられる。

『あ、いえ…大丈夫です…』

滴る汗を拭いながら体を起こすと

「誰かと思ったら〇〇…か…?」

と瑛一の心配そうな表情が目に映る。

『瑛一…どうしてここに……』

「ヴァンの様子を見に来たんだ。
今日が撮影最終日と聞いてな。

…お前も出ていたんだな…」

と、言われ

『そっか…そうだったんだ
桐生院さんの演技、凄かったよ^^』

笑顔で誤魔化す〇〇。
しかし、

「どうした?
泣きそうな顔してるぞ」

『……してない。
ちょっと、気分転換に走ってたって言うか……』

「気分転換って…どうした…」

付き合っていた頃のような
優しい声で心配されて
思わず声を上げて泣きそうになる。

(ダメ…、
ここで瑛一を頼ったら。)

頭では分かっているが、

(じゃあ、他の3人に
このこと伝えられる?

無理でしょ?

皆…SSSで忙しいし…
レンが春歌の方に行くなら…って

全員そっちに行くかもしれないよ?)

と、自分の中の悪魔が囁く。

(確かに……)

そう思ってしまった一瞬で
涙腺が緩み始める。

ポロ…ポロ…と、

涙が頬を伝う。

ここ数日我慢していた感情が
溢れて止まらなくなる。

「お、おいっ…大丈夫か?
本当にどうしたと言うのだ…//」

久々に見る彼女の涙に
焦るのと同時に
自分に気を許してくれたのだと
安心する瑛一。

『う……
なんでも、な…ぃ、(。•́ωก̀。)…グス』

それでも頑なに口を閉ざす彼女に

「分かった…言わなくていい。

こんな姿見せられて、放っておけるか。
家まで送ってやる。
お前、今日はマネージャーと一緒か?」

『…… (フルフル…』

密室で2人きりになるなんて、
絶対ダメだって分かってるのに。

今日は誰かに甘えたい気分だった。

結局、瑛一に連れられ、
彼の車の助手席に乗り込む〇〇

**

暫く静かに車を走らせる瑛一。

少し勇気を振り絞って、

「…大丈夫か?
何かあったのか…?」

と声をかけると

『………』

返事がない。

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