第17章 代替品の恋慕
「ハァ…ハァ…
〇〇ちゃん…」
レンが〇〇のもとに走ってくる。
『……レンくん……
(今は会いたくなかったなぁ…)』
そう考えながら
『んー?^^
どうしたの?
そんなに息を切らして( ˊᵕˋ ;)』
といつも通りに振る舞う。
「これ…屋上の階段に落ちてた…」
〇〇は
レンの掌の上にある
イヤーカフをみて凍りつく。
自分があの会話を盗み聞きしていたことが
彼にバレているのだと気が付き、
『……そうなんだ^^
ごめん、修斗くんと遊んでて
落ちちゃったみたい。
でも、私には勿体ないものだから、
やっぱり返すよ^^
ありがとう。
今まで…』
〇〇はそのままイヤーカフを受け取らずに
走り去った。
彼女は彼と距離をとる選択をしたのだ。
「あっ…レディ…」
逃げるように去る〇〇の様子を見て
(やっぱり屋上での会話
聞いてしまっていたんだ…
彼女を傷つけてしまった…)
と彼女にかける言葉が見つからず、
この場に立ち止まるレン。
彼もこの場で自分がどうしたかったのか
全く分からなかった。
ただ、イヤーカフをみて
とても心苦しくなって、
気づけば走って追いかけていた。
(確かに子羊ちゃんは大切で、
今はSSSのことで一緒にいる時間が長くて、
音楽に触れている時間が長いから
そればかりで頭をいっぱいにしているし、
SSSが終わるまではそれでいいと思っている…
でも、それが
〇〇ちゃんを傷つけるって…
分かってただろ…
SSSが終わったら?
JOKER TRAPでまた再共演したら
また彼女に戻るのか?
俺は一体何を考えてるんだ……)
と、その場で立ち尽くしながら
悶々と考える…
しかし、この問いに答えが出ることはなかった。