• テキストサイズ

【R18】欲ばりに花束を。[うたプリ]

第17章 代替品の恋慕



**

次の日からは
撮影に少しの緊張感があり、

ライバル関係にある
主役2人の神がかった演技が際立った。

「もう一度、どう言った状況で
怪我したか、言えるかな?」

弁護士の炎 暁(ほのお あきら)役のレンが
優しい口調と視線で
病室のベッドの上の子供に話しかける。
手には説明しやすいように
事故現場の写真の入ったファイル。

「うん。

僕がこの遊具で遊んでいたら
急にキキッてならなくなって…
僕、びっくりしちゃって
そしたら、目の前がぐるってなって…
気がついたら…ここにいたの。」

拙い言葉で伝えるわが子を

『ブレーキが効かなくて、
落ちて頭を打ったみたいで…』

と、補足する母親役の〇〇。

「なるほど…
医師からの診断はどうでしたか?」

『あ、はい…えっと……』

**

病室でのシーン
家族だけのシーン
弁護士たちが駆け回るシーン

撮影スケジュールは
どんどん進んでいき…

ついにクライマックスの
裁判のシーンになる。

『(もうすぐ撮影も終わりか……)』

結局初日のあの日以来、
子役の子とのコミュニケーションに
集中しすぎて、
レンと話せていない〇〇。

一足先に裁判所のセットの方へ向かうと、

「すごいセット…
まるで本物の裁判所みたい…」

と目をキラキラさせながら
スタジオを見つめる少女がいた。

『(七海さん…!)』

思わずセットの隅に隠れる〇〇。

キラキラした瞳は
純粋無垢で一切の汚れを知らない。

そんな彼女に

(私が勝てる日は…
……多分来ない。)

なんて自分の思考に落ち込んでいると

スタスタと春歌に近づく足音が聞こえる…
暗くてよく見えないが…

『(あのシルエットは…レンくん…?)』

「あっ、神宮寺さん。」

と春歌が親しげに声をかけると

「へっ?//」

ドンッと壁に春歌を追い詰める。

そして、

「レディ…俺の全てをかけた演技…
是非君に見てもらいたい。」

と春歌に伝える。

すると、

レンと反対側から現れた桐生院ヴァンが

ドンッと壁に腕を突いて

「はーちゃん。
ワイの本気の演技、
しかと見届けてや。」

と、いつになく真剣な表情で
春歌を見つめる。

そして、お互いを睨みつけ合い、
まるで一触即発な雰囲気。

『………っ、(やっぱり…)』







/ 281ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp