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【R18】欲ばりに花束を。[うたプリ]

第17章 代替品の恋慕



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寮に帰っても
今日の撮影のことが忘れられず、
台本を握りしめていると

相部屋の聖川真斗が入室する。

「神宮寺……」

と声をかけても
思い詰めている様子で返事のないレンに

思わず

「フッ…珍しいな、神宮寺。」

と笑ってしまう。
ようやく真斗に気がついたレンは

「?…なんだ?聖川。」

と返事をする。

「いや、何でもそつなくこなすお前の
そんな必死な顔、初めて見た。」

と真斗に言われ

「えっ?、……そっか……」

どこか納得したような表情で

「ハッ……
点けられたのかな……火を」

「火を?
桐生院ヴァンにか?」

「あぁ。…

俺は今真剣に思っている。
何としてもあいつに勝ちたいと。」

「神宮寺……」

「…(この勝負…絶対に勝つ。

レディのために。

ST☆RISHのために…

そして、俺自身のために!)」


**

〇〇side

書斎の机上にて

『レンくん…

声かけずに帰っちゃったけど…
大丈夫だよね…?』

と呟きながら

シャッシャッ…と
クロッキー帳に鉛筆で
デザインを描いていく〇〇。

散らかった紙には
見覚えのあるオレンジ髪の青年が描かれ、
ロング丈のタキシードジャケットや
腰までの丈の軍服のようなデザイン…
様々なデザイン画が描かれている。

恋人たちをモデルに
デザインの練習をすることが
彼女の最近の日課になっている。

何を着て欲しいか、
自分とペアルックにするなら
どんなデザインがいいか…

4人でユニットを組ますなら
どんなデザインがいいか…
色んな角度から考える。

そうすると
4人を身近に感じて
不思議と気分が晴れる。

だが今日の〇〇は
なかなか集中出来ないでいた。

昼間の”俺たちの子羊ちゃん”という
レンの言葉が脳内をこだまし、
彼女を不安にさせているからだ。

『よし!集中!集中!』

〇〇は頬を叩いて集中し直し、
次は紺色髪の青年を書き始める。

『……
(大丈夫…レンくんは
必ず戻ってきてくれる…)』

そう自分に言い聞かせながら
待つことしか出来ない彼女は
手を動かすしかないのだ。


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