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【R18】欲ばりに花束を。[うたプリ]

第17章 代替品の恋慕




全てを目撃してしまった〇〇は
ショックでその場を立ち去る。

『……(泣く資格は、流石にない。)』

**

「よーい…カーット!」

という声が響き、
先程その場を後にしたセットで
撮影が始まる。

〇〇は法廷の傍聴席から
証言台に立つ夫を見守る。

『……(神妙な面持ちのシーンでよかった。
……笑顔なんて…作れるか分からないから。)』

パッと一瞬レンと目が合ったが、
フイッと逸らされて
ツキツキと胸が痛む。

幸い彼は私に見られたことに
気づいてない。

『……(見なかったことにして、
やり過ごせばいいんだ…
大丈夫。
演技は得意でしょ。)』

と言い聞かせる。

そして、2人が思い切りやり合うシーン。

途中にヴァンが物凄いアドリブを入れ、
レンもそれに答える。

そのやり取りは
裁判に勝つための台詞ではなく、
七海春歌に向けられた
お互いの本心のように聞こえる。

ことごとく打ちのめされる〇〇。

『………』

でも、彼女は諦めることしかできない。
彼女が去る者を追うことはない。
今までも…そしてこれからも…
もう去られることに慣れてしまっているのだ。

**

裁判のシーンの撮影が終わり、
ラストの風野と炎が少し分かり合うシーン。

〇〇たち家族は一足先に
上がりになり、
3人で少し休憩しながら談笑していると、

「あ、あの…
□□さん…ですよね?」

と声をかけられる。

振り向くと、七海春歌がいて、
目を丸くして驚く〇〇。

『は、はいっ…( ˊᵕˋ ;)

(なんだろう、なんだろう…なんだろう……)』

心臓がバクバクと鳴りながら、
椅子から立ち上がる。

「あ、お、驚かせてしまって
すいません。
あ、あの…JOKER TRAP拝見して、
それで、その…演技が凄くて…
1度お話してみたかったんです…(>ㅿ<;;)」

と、なんだかファンを
目の前にしているような感覚に
キョトンとしてしまう。

「あっ、き、急にこんなこと言われても
困りますよね。

すいません…(>ㅿ<;;)」

とペコペコと頭を下げられ、

『い、いえいえ( ˊᵕˋ ;)
わ、わたしも…あの素敵な曲を作ったのが
七海さんだって聞いて、
とても気になっていたんです(*^^*)』

と、頭を上げてという仕草をする。


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