第17章 代替品の恋慕
するとそこに
「ひどいなぁ〇〇ちゃん。
わいは全員に本気って言うてるやん。」
と、スタスタとヴァンがやってくる
『げっ。…いつから聞いてたんですかぁ?』
「げっ。て聞こえとうで。
いつきたん て、ついさっき〜
わいが誰でも口説いてるって言ったあたりかな〜」
こう聞いて、
レンが愚痴をこぼしている所を
見られていなくて良かったと
内心ほっとする〇〇
「レンちゃんには
優しく話してんのに、
なんで俺にはそんな冷たいん?」
ボスッと〇〇の横に座り、
肩に手を回そうとするヴァン。
『理由もなく口説いてくる人を
警戒するのは当たり前です。』
パシッと腕を払い除ける〇〇に
警戒していたレンが少し安堵する。
「理由?
気に入ったからじゃダメなん?」
しかしまだ諦めないヴァン。
『ダメです。
七海さんを気に入る理由は分かるけど、
私を気に入る理由が見当たらない^^
どうせ瑛一との関係を探ってやろうとか
そんな魂胆なんでしょう?^^』
と冷たい笑顔で応じる〇〇
「…ギクッ(=_=)
なんや、可愛くないなぁ~
見透かされてるみたいやわ。」
とお手上げポーズで降参した様子。
夫婦漫才のようなやりとりに
一瞬安堵したレンの心に
嫉妬心が湧き上がってくる。
『だから、瑛一に聞けばいいでしょ。
まぁ、ただの元共演者としか言われないと思うけど。』
「えー、ケチやなぁ…っと、
そろそろ撮影始まるやん!
ワイ行くわ!
ほなまた後で^^
今日は外暑いでぇ~…」
と急に立ち上がって
撮影に向かうヴァンの背中を見送る2人。
少し沈黙したあと
『嵐みたいな人だね…』
とレンに言うと…
「……うん…そうだね…
…じゃあ、俺も行くよ…」
と、こちらを見向きもせずに
行ってしまう。
『あ、…うん…』
なんだか寂しげなレンの背中を見送る〇〇。
『……(いつもの余裕が無い…
レンくん…大丈夫かな…)』
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撮影では
2人の対立シーン。
スタンバイ中に
先日の出来事が反芻するレン。
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