第15章 まばゆい
そんなトキヤの様子を見た音也が
「…〇〇さん……
ってどこかで………あー!
君、トキヤとレンの舞台で
ヒロイン役だった人だよね?」
と指さす。
その指も払い除け
「そうです。…指ささないでください。」
「あっ、ごめん」
と、その手を引っ込める音也。
『あ、ご、ご挨拶が遅れましたっ
□□〇〇です。』
副業モードで丁寧に12人に向けて
お辞儀する〇〇に、
「〇〇さん、今日はなんで…」
と、耳打ちするトキヤ
『林檎さんの衣装の納品だよ( ˵>ㅿ<˵ )
こんな大変なときに遭遇しちゃうとは思わなくて』
とレンとトキヤにだけ
聞こえるように話していると
「□□さま!
大丈夫ですか?」
と、外が騒がしいことに気づいた
菱も駆けつける。
『菱っ!
う、うん。大丈夫。
挨拶してただけだよ!^^
(た、助かったぁ…)』
ことを大きくしないよう、
誤魔化しながらも
ようやく安心した表情になる。
その親しげで安堵した表情に
心の中でモヤッとした感情が拡がる瑛一。
「……(誰だこの男は…
それに一ノ瀬トキヤと神宮寺レン、
この2人に対する態度もおかしい…)」
目の前で〇〇が他の男に
気を許している様子を見て
焦っている自分に気づく。
「……(俺は今なにを…)」
そんなことをボーッ考えていると、菱が
「それでは、失礼します。」
と彼らにペコッとお辞儀をし、
レンとトキヤにだけ少しの目配せをする
レンとトキヤが(あとはお願いします)と
頷いたのを確認して、
車の方に〇〇を連れて向かう。
彼らから十分距離をとったあと
『ありがとう菱!』
とコソッとお礼を言う〇〇
「凄い状況でしたね…( ˊᵕˋ ;)」
『全くだよ!』
なんて言いながら車に乗り込む。