第13章 Mighty Aura
そこに、
「すいません…そろそろ練習再開…
って、〇〇さん!?」
と、近くのレッスン室から
汗を拭いながら出てくるトキヤ。
『あれ!トッキーだぁ♡
って、ゴホンッ…
久しぶりだね?
元気?』
と、素が出かかったが、
取引先の事務所内ということを
思い出し、おもむろに軌道修正する〇〇。
「…?」
(今こいつ…語尾に♡付いてなかったか?)
一瞬、瑛一に勘づかれそうになったが、
軌道修正の甲斐あってか
ギリ怪しまれずに済んだ。
「今、彼に誘われて
こちらでデュエットプロジェクトの
打ち合わせや練習をさせてもらってるんです。」
というトキヤは、
瑛二の方を差しながら
久々に会った恋人を愛おしそうに見つめる。
『へぇ、そうなんだ~^^』
「すいません。
一ノ瀬さん!
すぐ戻ります!」
瑛二がそう言ってトキヤの方に小走りで向かい、
「じゃあね!〇〇さん!
またね!」
と、〇〇の方に手を振る。
トキヤも一礼して
2人でレッスンルームに戻って行った。
(元気そうでなにより…)
暫く恋人4人の顔を見ていなかった〇〇も
ほっと胸をなでおろし、
瑛一と2人で取り残されたことに気まずさを感じる。
『て、では……失礼シマス( . .)"』
と言って、
瑛一に背を向けて歩き始めると
「また…近々会おう。」
と声をかけられる。
〇〇は振り返って
『絶対イヤ!…ベー…』
と大人気なく舌を出して
逃げるように去っていった。
「……ククッ…アハハハハッ」
瑛一は暫くその場で笑っていた。