第13章 Mighty Aura
2人は昔恋仲だった。
18歳の瑛一が好きになったのは
ドラマの共演者で1つ歳下の〇〇だった。
当時はまだやんちゃだった〇〇が
瑛一には輝いて見えていた。
夢を追う彼女の笑顔が大好きだった。
でも彼女には困ったところがひとつあった。
彼氏の一挙手一投足に一喜一憂し、
必要以上に合わせてしまうところだ。
眩しかった彼女の魅力が
どんどん薄れていくように感じた。
結局2人は付き合ったが、
瑛一の心が離れていくのと同時に
彼女は彼に依存するようになっていった。
普段は好きだなんだと言う彼女だが、
瑛一が本心…心の奥底を覗こうとすると
いつもはぐらかされて、逃げられる。
そんな彼女に辟易した瑛一が〇〇を振る形で
1ヶ月も経たないうちに別れることになった。
「お前にはもう魅力を感じない。」
彼が〇〇に言った一言だった。
この言葉は
〇〇のトラウマアーカイブに
しっかりと刻み込まれた。
**
叩き落とされた手を
見つめた後
彼女の方に向き直り
その鋭い眼光に目を奪われる瑛一。
あのときの気持ちが
心の奥底から
ふつふつと湧き上がってくるのを感じる。
「い…イイ…今のお前…最高だ。」
心のままにガシッと肩を掴むと
『いたっ…
もう、なんなの!?
離してっ!』
と〇〇が体をよじって
振りほどこうとする。
だが、瑛一の力には敵わない。
すると
〇〇の後ろから
弟の声が聞こえる。
「兄さん…何して……
って、〇〇さん!?」
この声でハッと我に返り、
力強く掴んでいた肩をパッと話す。
『…瑛二っ!』
後ろをふりかえって
助かったという表情の彼女。
「うわぁ!久しぶりだね…
って…僕のこと覚えてる?//」
と、頬をかきながら照れた表情の瑛二。
『当たり前だよ〜!
大きくなったねぇ^^
あの頃はまだ体出来上がってなかったもんね』
「…もう!恥ずかしいから、
そういうこと言わないでよ。//
俺…ずっとまた会いたいって思ってたんだよ?」
と弟みたいな存在から
急に男らしさを感じて
いたたまれなくなって
『私も会いたかった~^^』
と愛想笑いで乗り切る〇〇