第12章 向き合う
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久々の誰かとのご飯に
楽しい気分。
食事も半分ほど無くなった頃
「じゃあ、本題について話していい?」
と菱から話し始める。
『うん…モグモグ…』
「例の件…つまり、
A社の手直し頻発が
偶然起こっているか否か…の調査で
進展があった…ということまでは
メッセージで伝えたわよね?」
『うん。』
「やっぱり作為的だった…」
『やっぱり…』
私はパスタをクルクルしながら
色々と想像をふくらませる。
『結局、S社の差し金ってこと?』
「…まぁ、最後まで聞きなさいよ。
S社の差し金であることは間違いない。
私たちの読み通り
A社とS社でデザイン合意
↓
B社がそのデザインで縫製・納品
↓
S社が最新のデザインと違うとクレームいれる
と同時にS社のスパイが
A社内のデータを書き換えて証拠隠滅
って流れみたい。」
『で、何故かうちに修正依頼がきて、
火を噴いてる状況ってことか…
てかそれ、なんかS社に得あるの?』
「それがまだわかんないのよね。
R社のデータもC社のデータも
そのスパイが書き換えてるみたいで、
他社への嫌がらせなのかも。
S社だけが助かってると犯人だってバレるから
カモフラージュのために
自社の分も書き換えてるんじゃないか…
って言うのが私の読み。」
『なるほどね、…
それなら筋は通ってるね。
うちの会社に修正依頼かけるのが謎だけど…
ちなみにスパイがS社だって証拠掴めたの?』
「それが、バッチリ♡」
菱が写真をくれて
『わぁお。ほんとだ。』
となる。
『あとでデータもちょうだい。』
「了解。」
『このデータ念の為”彼”にも送っておこう。
私たちになにかあったときの保険として』
「了解^^」
『ん~!
色々わかってきたけど、
まだ何も解決してない…って言うね。』
グビっとワインを飲み干して
こういうと
「やっぱり、S社に直接対決挑むしかないのかしら…」
『うーん…
まぁ、動きがあるまで
もう暫く様子を見よう…
菱、私今独りだから
菱宛に通知が行く スマート防犯ブザー
購入しておいて欲しい。』
「そうね。
総務に申請しとく。
何か起きる前に…
すぐに駆けつけるようにするわ。今度こそ。」
『……ありがとう。よろしくね。』
「ええ。」