第12章 向き合う
それから暫く昔話に花を咲かせて
嶺二が身支度を始める。
「そろそろ出るよ…
ほんとにありがとね…」
『うん。またね』
「また、今度…って、何これ〜」
と、ダイニングテーブルに
纏めたままにした
衣装デザインが描かれた紙の束を見つける嶺二。
『あ〜…
この前のSSSの特番見ながら
落書きしたやつ…」
「へぇ~…」
そのうちの1枚を手にとって
じっとみつめる嶺二
私は恥ずかしくなって
『ごめん、捨て忘れてた』
と、奪い取ろうとするけど
さっと避けられて
「これもらってもいい?」
と、いつもの悪戯っ子のような表情の嶺二。
『い、いいけど…
何に使うの…』
と怪訝な表情で聞くと
「内緒!
悪いようにはしないからさ!」
そう言ってニカッと笑う。
(ほんとかなぁ…)
そんなやり取りをして、
嶺二を見送った。
その後、
ランランとミューちゃんから
「嶺二が何処にいるか知らないか」
とメッセージが来たので
『ごめん、わかんないや。』
とだけ送った。
場所までは知らないから
嘘じゃないよね?
ほら嶺二…
ちゃんとみんな探してるよ。
頑張れ(*•̀ᴗ•́*)و ̑̑
続けてブブッと
メッセージが入る。
『菱からだ…』
アプリを開くと
「例の件、進捗あり。」
ときたので、
『うちに集合!』
と返信した。