第9章 QUARTET NIGHTとの撮影
「瞳を開けて…」
『うん…』
そして瞳を開いて続けて上目遣い。
目の前に藍ちゃんの顔が近づいていて
どう魅せたら藍ちゃんの彼女っぽいかな
なんて考える。
藍ちゃんもプロだから、
眼鏡を写しつつ
鼻と鼻が触れ合う距離に近づく。
顔を俯けようとする彼女にすかさずキス…
というシーンを2人で作り上げる。
「めちゃくちゃいいっ!」
一時停止して
一通り色んなアングルで撮影してから
「はい!一旦確認ですー!」
と、プロデューサーたちの
撮影した写真を確認する時間。
私達もPC画面の前に向かって
確認してみる。
(我ながら結構いい仕事したんじゃない?)
なんて思っていたら
「うん。とてもいいですね。」
と藍ちゃんも同じ考えのようで安心する。
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モブ田side
なんだか2人のお似合いぶりに
スタッフ一同感心しています。
その傍で黒崎さんが
ロッカーを想わせる革ジャンに
黒のスキニーで
バイクに股がった姿を披露している。
次は黒崎さんとの撮影か…
と僕はまた冊子を確認する。
次はツーリングをテーマにした
撮影のようだ。
"眺めのいいSAで休憩中"の背景が
セットで完璧に作られている。
(これむしろロケの方が安上がりなんじゃ…)
「…本物じゃねぇのが気に入らねーな。」
と、少し不機嫌な黒崎さんが
男の僕でも惚れるような
愛用バイクとの
格好いい写真を上げていく。
美風さんの方はというと、
お2人での撮影を終え、
姿が見えなくなっています。
美風さんはまたソロの撮影に戻るのでその衣装、
□□さんは黒崎さんとの撮影用の衣装に
それぞれ着替えるため、一旦控え室に戻っています。
「すいませーん。」
すると、寿さんが僕に話しかけてきます。
「ど、どうされました!?
何かご不便でも?」
「あっ、いえいえ(^O^;)
ミューちゃんが
甘いものが食べたいって言ってるんですけど、
何かケータリングとかってあります?」
ということのようです。
「あ、はい!
焼き菓子で良ければ、
控え室の方にあるので取ってきますね!」
被写体の皆さんが快適に過ごせるようにするのも
僕の仕事のうち。
と走っていくと…
「あっ!自分たちで…って…
行っちゃった…」
寿さんが何か言っていた気がするけど、
まぁいいですかね…