第7章 とある夏の夜
結局、
『みんな私の隣を取り合って喧嘩するから
私が一番後ろでベッドの背もたれいくね。
4人は前に行って』
と
映像に向かって
右からレン、カミュさん〇〇さん
私、黒崎さんの順で並び、
三角形のフォーメーションになります。
背後に〇〇さんを感じながら観る映画…
私も少しワクワクしてきました。
黒崎さんが主役…ということは
アクションでしょうか…
それとも不良が出てくる学園物語…
何にしても楽しみです。
「じゃあ、再生するぜ。」
黒崎さんがこちらを向いて
リモコンをプロジェクターに向けます。
『うんっ!』
ピッという音ともに
各関連会社のクレジットが流れ始める。
そして画面が暗くなる…
そして…
”「はぁ…はぁ…
やばい…やばいって!!」”
男性の悲痛な声から始まる。
映像は日が落ちかけて
暗い霧掛かった林の中を走っている様子が
乱雑に撮影され、
焦りと緊迫感をこちらに与えている。
何かから逃げているように見える
”「皆…皆襲われちまった!
畜生!
なんでこんなことに!
おわっ!あぶねぇ!」”
ザザッと崖に転げそうになり、
男が体に急ブレーキをかける。
そして、振り返り
息を整える…
”「はぁ…はぁ…
ちっ、くしょう!」”
そして、何かが男を襲うように
カメラが男に向かって近づき
次の瞬間…
ドンッ…という音と
何かに食べられたような
内蔵が出たその男が崖から落ちる様子が
下からのアングルで映り、
一瞬でフレームアウトする。
それからOP映像に移る。
血のような泥のようなものが
散りばめられた森の映像が
関係者の名前とともに流れていく。
『……』
「蘭ちゃん…これってホラー?」
「ん?あぁ。
ホラー…だな。」
「意外ですね。
黒崎さんてホラー映画のオファーなんて
来るんですね」
「どういう意味だよ。
ホラーつっても…
って〇〇?」
『…ビクッ(=_=)
……ん〜?』
「クッションなんて握りしめてどうした?」
黒崎さんの視線を追うと
〇〇さんがベッドに並んでいる
クッションを1つ抱きしめて固まっています。