第10章 生徒会長[〇宇髄天元]
次の日、やけにいい匂いが家中を漂っていた。
携帯の時計を見ると、朝の6時。
昨日の出来事をふと思い出して、今日やるべきことを思い出した。
ソファから降り、キッチンの方を見ると、が何かをしていた。
俺が起きたことに気が付くと振り返った。
昨日貼ったはずの湿布は取れていて、腫れも引いていた。
「起きました?」
「……何してんのお前」
「朝ごはんです。
泊めてもらったのでそのお礼に。
冷蔵庫勝手に開けましたよ」
「いい匂いの理由はこれか……
何作ってんの」
「重っ」
の背中に乗りかかる感じで密着させ、作っているものを見る。
卵スープか?
「離れてください。スープかけますよ」
「俺様の派手で美しい顔に火傷させる気か」
「何で乗り掛るんですか。
そういうのは恋人にしてください」
「俺今フリー」
「でしょうね。
でないと私なんか泊めませんもんね」
こいつ言うようになったな…
昨日までは派手に落ち込んでたくせに。
作ってくれた朝食を食べ、の家に行く準備をする。
「父になんて言うんですか?」
「娘さんを俺にください」
「それ、結婚する時に普通言うんですよ。
あと私たち付き合ってないですし」
「へいへい」
震えてる。
大丈夫、父親がお前を殴ろうとしたら俺が守るから。
怯えなくていい。
家に着くと、は玄関を開けた。
ここで待っていろと言われたから待っていると、中から怒鳴り声と何かが割れる音が聞こえてきた。
待てるはずがない。
そう思い家の中に入った。
「やめろ!!」
に殴り掛かろうとする父親を止め、離れさせた。
近くに割れた酒瓶があり、液体が散らばっていた。
「あんた…担任の……!!」
「そうですよ。
話が合ってきました」
心配そうな目で俺を見ているを安心させるように手を繋いで、意を決して言った。
「は俺と暮らします」