第10章 生徒会長[〇宇髄天元]
夜眠れなかったから散歩をしていた。
もしかしたらと思って、あの人同じ公園まで足を運んだ。
夜遅いし、さすがにもういねぇか。
そう思ってると、ブランコに見慣れた後ろ姿が見えた。
驚かしてやろうと思い、近くの自販機で水を買い、気配を消して近付く。
「え」
遠くからでよく見えなかった。
何でこいつ濡れてんだ?
雨は降ってないし、不自然に頭だけ濡れてやがる。
「……?」
垂れてる前髪を耳にかけると、頬が赤く染っていた。
"親関係ですよ"
その言葉の意味が今分かった。
何も言えずにいると、こちらを向かずには口を開いた。
「……何でいるんですか」
「…散歩」
「こんな夜遅くに?」
「寝れなかったら」
「……」
「いつからだ…?」
「……」
何も答えない。
目線が合うようにしゃがむと、更に逸らした。
赤く染った頬に手を添えると、肩を震わせた。
「家来い」
「……」
「その髪もコレも何とかしねぇと」
「いいです……慣れてるんで……」
「締め出されてんだろ?」
「朝になれば入れますから……」
「強がんな。強がらなくていい。
俺の前じゃ普通でいろ」
「……なにそれ」
「これでも着とけ。
風邪引くぞ」
来ていた上着をに着させ、手を繋いで無理矢理歩かせる。
こいつが泣いてた理由も、いつもさせる悲しい音の原因も全て分かった。