第10章 生徒会長[〇宇髄天元]
月曜、は学校を休んだ。
滅多に休まないアイツだから、珍しいと思った。
パシリにしすぎたか…?
別にアイツがまたタバコを吸おうがミジンコになろうが、内申点は下げないつもりだった。
だけどあの反応が面白かったから、少し揶揄ってやろうと思った。
学校じゃ真面目で優等生で華奢な生徒会長が、
実はタバコ吸ってたなんてどっからどう見てもギャップだ。
親も吸ってるって言ってたから親のを貰ってるのか、それとも自分で買いに行ってるのか。
メイクで人は変わるっていうし、大人っぽいメイクとそれっぽい服を着たら簡単に店員は騙せる。
俺もやってたから。
次の日、あいつは来た。
放課後、いつもみたいにパシリにしてやろうと思った。
「おーいー」
「……」
いつもなら嫌々返事するのに、今日は無言だった。
そのまま黙って俺の顔を見た。
……泣いた痕?
「……体調もう大丈夫なのか?」
「まあ」
「そうか……」
俺は人一倍耳がいい。
だから何を思ってるか、どんな感情かすぐわかる。
「……泣いたのか?」
「…」
「?」
「放っといてください……」
これは悲しみというよりかは、絶望の音に近い。
確かにこいつからいつも悲しい音がしていた。
だけどここまでは初めてだ。
なんだ?何があった?
なんでそんな音させてんだ。
「うわっ!ちょっと!」
「2者面談だ馬鹿」
「降ろしてよ!この筋肉バカ!」
「本性表わしやがったな!!」
を肩に担ぐと、ギャーギャー騒ぎ始めた。
騒ぐもんだから生徒らが見るわけで。
「うるせぇな」
「なら降ろしてよ!」
「嫌だね」
「このっ……筋肉ダルマ!」
信じられるか?
こんなのが生徒会長なんだぜ?