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善い愛し方と悪い愛し方

第8章 ほくろ[✩宇髄天元]


「誰だお前は」



俺も鬼殺隊に入って、もしかしたらって思ってあの時の女を探した。
ようやく見つけて話しかけた時、そう言われた。



この俺様を忘れるとはいい度胸じゃねぇか。



「宇髄天元!!音柱の!!」

「そうか」



それだけ言って先に進むものだから急いで止めた。
なぜ止める?みたいな顔を向けてきやがったから、初めて会った時の事を話してやった。



「………………あぁ、あの時の……」

「マジで忘れてたのかよ!!」

「うるさい。人の顔なんていちいち覚えてられるか」

「なぁ、お前柱じゃねぇの?」

「……」

「なんでそんな顔すんだよ」

「不死川と言いお前と言い、年上には敬意を表すものだろ。
お前に"お前"と呼ばれる筋合いはない」



そう言って再び歩き出した女。
名前を知らないから名前で呼ぶにも呼べねぇし。



だけど話していて気が付いたことがある。
話す度に少しだけ。
普通の人間には聞こえないが、俺にはしっかりと聞こえた。



風を切るような音が聞こえた。





____
________



「柱じゃないのに会議には来ていいのかよ」

「御館様に言われてるからな」



柱合会議、あいつは何故か居た。
他の柱の奴らも当たり前だと言わんばかりに接している。
あの不死川が"さん"付けをしている。



あぁ名前……しっかり聞いてなかった……。



「おい、おい宇髄天元」

「あ?」

「ボーっとするな。会議に集中しろ」



この女マジで何者なんだよ……。



会議が終わって、そそくさと帰ろうとするから引き止めた。
すげぇ面倒くさそうな顔をされた。



「アンタ名前は?」

「…名乗った記憶があるが」

「名乗ってねぇから聞いてんだよ」

「それは失礼。だ」

「………ね」

「さんを付けろ」



あの不死川でさえ"さん"付けをしている。
どうしつけたのか。
殴ったか?
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