第7章 恋をする資格[〇不死川実弥・宇髄天元]
「入るぜェ」
ガラッと扉を開けてきた不死川先生。
心做しかまだイライラしてる気がする。
「手」
「手?」
「ん」
手を出したら、その上に飴を置かれた。
扉の方を見ると、親指を立てたカナエ先生がいた。
不死川先生は私の隣に座り、足を組んだ。
「カナエ先生が宇髄と話してくれるらしい。
俺ァこれ以上イラつきたくねぇからここに来た」
「そうですか……」
「……敬語じゃなくていい」
「でも先生の方が歳上だし……」
「俺は気にしねェ」
敬語じゃなくていいって言われても……。
友達みたいな感じで話せばいいのかな。
「分かりました……じゃあプライベートの時は敬語無しで」
「まァそれでいいわァ」
先生は立ち上がり、珈琲を容れた。
飲むかと聞かれたが、今は飴を舐めているのでやめておいた。
「アンタのタイミングでいい。
1回ゆっくり話そうぜ」
「……カナエ先生も言ってましたそれ」
「あァ……前から言われてたからな」
前から言ってたんだ。
……先生の勘はどこまで合ってるだろうか。
私自身過去のことを話していない。
でも先生は何だか理解してる風だった。
「次の休み空いてるかァ?」
「…次の日曜のことですか?」
「あァ」
「まぁ空いてますけど」
「じゃァそのまま空けといてくれや。話そうぜゆっくり。場所とかは後で送るわ」
「あ、はい…」
今ここで話すのはダメなのか。
ダメなんだろうな。
気を遣ってくれているのか…?
「ちょっと様子見てくるわァ。何がなんでも謝らせるからなァ」
「別にいいのに……」
「2回も泣かしてんだぞ。俺は許さねェ」
先生はそう言って、バキバキと拳の骨を鳴らした。
謝らせるとは。
物理的になのか。