第7章 恋をする資格[〇不死川実弥・宇髄天元]
次の日曜、先生は私の家に来た。
ちょうどお昼時だったので、一緒にお昼を食べた。
ゆっくり話すとは言っても、何を話したらいいか分からない。
この先のこと?それともただの世間話?
「俺の気持ちは伝わってるっていう解釈でいいんだよなァ?」
「……私のことが好きだと言うことでしょうか」
「敬語ォ」
「はい」
癖なんだから仕方がない。
慣れるまでしばらくは敬語とタメが混ざると思う。
「それしかねぇだろ」
「……いつから先生は私のことが好きですか……なの」
「さぁなァ」
さぁなぁとは。
忘れるぐらい前から好きだということなのか。
「先生は……何で私に優しいんです……の」
「別に優しかねェよォ。
まァでも強いて言うなら、好きな奴には優しくしたかったんだよ」
「…へぇー」
「興味無さそうだなおい」
興味はあるけどそこまでではない。
先生は出されたお茶を飲んだ。
「……どーする?付き合う、か?」
26歳だか、男の経験はない。
告白はされたことは何回かある。
だけど全て断っていた。誰かを好きになったこともない。
「せ、先生は……いいの?…ですか」
「そりゃ付き合えたら嬉しいけどよ。
アンタは大丈夫なのかって話だァ」
「……私、は……先生なら……昔のこと話せると思うし、これから話そうと思ってたから……。大丈夫です。……大丈夫だよ」
「ぶふっ……」
我慢が出来なくなったかのように先生は吹き出した。顔は下を向いているが、肩が物凄く震えている。
笑っている。それも大爆笑だ。
「……」
「話し方がぎこちなさ過ぎて堪えてたけど無理だったわァ」
「よく笑いますね……」
「ぐふ……まぁこれから慣れてけばいい。
じゃあ、これからもよろしくなァ」
笑いを堪えながら、先生は手を差し出した。
握手ということなのだろうか。
「……よろしく、ね」
私はそれを受け取った。
[終]