第7章 恋をする資格[〇不死川実弥・宇髄天元]
「やるよこれ」
「………………」
後日宇髄先生から渡されたのは、辛いポテチだった。
私は辛いものが苦手だ。
「辛いの好きそうだったから」
「…………ありがとうございます」
食べれないんだよな…。不死川先生食べるかな。あの人も辛いのいけるのかな。どうしようこれ。受け取っちゃったけど食べれない。カナエ先生もあまり得意じゃないって言ってたし。
貰ったポテチをカバンの中に入れ、机の引き出しから飴を出し、口に含み舐めた。
「モテるやつは大変だな」
「モテてません」
伊黒先生は珈琲が入ったカップを持ってきながら言った。
別に私はモテていない。
「食べれないなら食べれないと言えばいいものを」
「……あげましょうか」
「いらんと言いたいところだが貰っておこう」
カバンからポテチを出し、伊黒先生に渡した。
首に巻いてる蛇の鏑丸が舌をチロチロと出した。
「そういえば、不死川とはどうなんだ」
「?いや普通に……煙草吸う仲ですけど……」
「そうか。その今舐めている飴もあいつから貰ったものなんだろう?」
「貰ったって言うか、なんか引き出しの中に入ってますよ定期的に」
直接渡しに来ればいいのに。なんでわざわざ引き出しの中に入れるのだろうか。芋けんぴは直接渡してきたのに。引き出しの中に入らないから?
「俺は宇髄めより不死川の方がお似合いだと思うが」
「何で付き合う前提なんですか」
「違うのか?」
「違いますよ……」
でも最近不死川先生といると心が落ち着くというか。話していて落ち着くというか。
別に好きではない。落ち着くだけだ。
「不憫だな」
「は?」
「いや、何でもない」
不憫とは……?
宇髄先生からは好きだと言われたが、不死川先生からは言われていない。だから不死川先生は別に私の事なんて好きではない。一緒に煙草を吸って、飴くれて。
"じゃあアンタが泣きたいときいつでも来い"
……不死川先生が……私のことが好き?