第7章 恋をする資格[〇不死川実弥・宇髄天元]
「ん」
いつもみたいに先生と煙草を吸っていると、芋けんぴを渡してきた。
この人この間笑ったよな…?
「笑って悪かったって」
「意外でしたか?芋けんぴ好きなの」
「あァ意外だったなァ。アンタ辛いの好きそうだったから」
「……辛いのは苦手です」
「意外と甘党なんだな」
意外とってなんだ意外とって。失礼な人だ。
それに先生こそ甘いものが好きではないか。くれる飴も抹茶ラテ味だし、たまにお昼休みの時にお萩食べてるし。人の事言えないのでは?
「先生もお萩好きなくせに……」
「!?何でその事知ってんだァ?!」
「え、だってたまに食べてるじゃないですか。くれる飴も抹茶ラテ味だし」
「…なぁ、1つ聞くけどよォ」
深刻な顔をし始めた。なんだ重い話か?
「俺って顔に出んのォ?」
「…………顔っていうか…態度?」
先生は態度に出やすい。お萩を食べている時も、表情こそは変わらないが、その時だけ話し方が少しだけ優しくなる。ほんの少しだが。
「はぁ……じゃあ宇髄以外にもバレてんなァ」
「お萩好きですか?たぶんみんな知ってますよ」
「!?」
悲鳴嶼先生は確実に知ってるだろう。あの人は意外と人の事をよく見ているから。
「お萩じゃなくてェ………」
「違うんですか?」
「違ェ…。アンタには分かんねェよ」
「?」
私には分からない、か。じゃあなんか男同士の事だな。
煙を吐き、灰皿に押し付ける。
「じゃあ先に行ってますよ。コレ、ありがとうございます」
「おゥ」
作業中食べようかな。でも手がベトベトしちゃうしなぁ。その手でパソコンとかはいじりたくない。でも食べたい。
割り箸で食べればいけるか。
カナエ先生持ってるかな。鋼鐵塚先生に…は、少し怖いから話しかけれない。
「…………」
やっぱり、直ぐに食べるのはやめよう。
せっかく買ってきてくれたんだ。
直ぐに無くなるのはなんだか勿体ない気がした