第7章 恋をする資格[〇不死川実弥・宇髄天元]
「ねぇねぇちゃん?好きな食べ物なーに?」
宇髄先生は私の隣の相手いる椅子に座り、笑顔でそんな事を聞いてきた。
背筋がゾワっとした。
「言いません」
「なんで?」
「………不死川先生に笑われたから」
この間不死川先生も聞いてきた。だから答えた。芋けんぴが好きだって。そしたら笑った。吹き出した。失礼だと思う本当に。謝ってたけど笑っていたから許さない。
「不死川教えてくんねぇんだよ。ヒント!」
「言いません」
芋って言ったらそれはもう答えになってしまう。芋で甘いものって言ったら、芋けんぴしかない。さつまいももあるけど、それは確か煉獄先生の好きなものだったから、それを言ってくることは無いと思う。
「えーじゃか辛いもの?甘いもの?」
「…言ったらそこ退いてくれます?」
「考える」
「じゃあ言いません。そこにいるんだったら引き出しからボールペン取ってください」
「へいへい」
宇髄先生が引き出しを開けた。引き出しの中には、不死川先生から貰った飴が入っていた。
まずいと思ったが、特にその事については言わずにペンを渡してきた。
「………何でそこにいるんですか」
「暇だから」
「仕事してください」
そうまじまじと見られると仕事がしずらい。不死川先生は授業だし、カナエ先生も授業だし。後藤先生も悲鳴嶼先生も授業だし……。
「何書いてんの?」
「嘴平くんのこのペケだらけの採点用紙に解説書いてるんです。そうすれば定期試験の時少しだけ点数高くなるので」
「嘴平ねぇ……、あいつ絵もすげぇからなぁ」
「集中すればいい点数取るらしいですよ。不死川先生が言ってました」
「……不死川、ねぇ……」
何でそんなに不貞腐れた顔するんだこいつは。同じ数学教師だからそういう話題も出るわけで。消してやましいことはしていない。
「なぁ、本当に不死川のこと何とも思ってねぇの、?」
「………さあ」
「は?」
「ただの同僚ですよ。あなたも不死川先生も」
そう、ただの同僚。
そう思うしかない。