第7章 恋をする資格[〇不死川実弥・宇髄天元]
「俺はの事が好きだ。それはもう派手に」
宇髄に飲みに誘われたと思ったら、突然そんな事を言われた。
こいつは多分、いや絶対。俺があいつの事が好きなのをわかって言ってる。だからこれは宣戦布告と捉えていいだろう。
「ハッ、奇遇だなァ。俺もが好きだァ」
「あぁ知ってるぜ。見てりゃあ分かる」
そんなに分かりやすいか。
ふと自分の行動を思い出してみた。
あいつが煙草に行くと俺も行くし、たまに飴を机の上とか引き出しに入れてるし、時々メッセージを送ってる。メッセージはバレてないとして、そうか。バレるか普通に。
「つまりお前は今日俺に宣戦布告しに来たってことかァ?」
「ああ。あいつを惚れさせんのは俺だ」
よく言う。泣かせといて何言ってんだこいつは。あいつがどんな思いで生きてきたかも知らないのに。
……俺も知らないか。あいつの口からは直接聞いていないから、俺の勘が当たってるのかは分からない。だけどあいつのあの反応からして、大体は当たってると思う。
「ハッ、泣かせやがったくせによく言うぜェ」
「…やっぱ泣いてたのか、あいつ」
「気付かねぇ様じゃ惚れさせんのは無理だなァ」
「……お前は知ってんのか。あいつのこと」
「……知らねぇよ」
仮に全てを知っていたとしても、誰にも言わない。あいつは知られたくないだろうから。
「何で俺怖がられてんだろうなー。でかいからかぁ?」
「……本気でそう思ってんなら俺は真面目に引くぞ」
「思ってねぇからそんな目で俺を見るな」
宇髄を怖がる理由……。たぶん、"相手"も宇髄みたいに身体がデカかったから。性格までは知らないが、触られただけで震えるってことはそういう事になる。
男なら誰でも……って訳では無いらしい。現に俺は平気だと言っていた。普通に抱き締めたし……
「まずはあいつの好物から知るとこだな!お前知ってる?」
「本人に聞けェ」
それじゃあ俺が不利になる。
この間あいつの好きな食べ物を聞いた。
"え、好きな食べ物ですか?……………芋けんぴ"
笑っちゃ悪いが笑ってしまった。