第6章 霞と微風[☆時透無一郎]
不死川が駆け付けた時には、彼女は既に血だらけだった。
玄弥を守るかのように、刀を構えていた。
不死川が黒死牟と戦っている際、彼女は深く斬られたところを呼吸で止血をしていた。
この失血量ではもう時期死ぬと感じ、簡易的な治療もしなかった。
途中で悲鳴嶼も合流し、不死川と2人で戦っていた。
刀を抜いた無一郎が、の近くまで走ってきた。
「は逃げて。お願いだから。死なせたくないんだ」
「…………この失血量じゃ…どの道助からないよ。見てたでしょ?肩からざっくり斬られちゃった……。ダメだなぁ私。役に立ちたかったのに」
「もう充分頑張ったよ。役に立ったよ。玄弥を連れて逃げてよ。お願いだから」
「……ううん、私は最期まで戦う。もう少ししたら立てると思うから、玄弥の傍に行って。まだ生きてるから」
「っ…………」
そんな顔しないで無一郎。最初会った時より強くなったでしょ?不死川様が来るまで時間稼ぎもできた。
それに、短い期間だったけどあなたの恋人でいられて良かった。幸せだったよ。
4人で黒死牟に攻めると、無数の技を出してきた。
その技が彼女の首を掠め、血が流れ出た。
無一郎の上半身と下半身を泣き別れにし、玄弥を斬った。
目の前が暗くなる中見えたのは、塵となっていく黒死牟の姿だった。
「!聞こえるか?!」
「…」
「悲鳴嶼さん!今持っている包帯を全て渡してくれ!」
「!」
もう体は痛くない。無一郎は……
「…………むいちろ……は…?」
「時透は……」
「…」
不死川様の反応を見て、察した。
でも私ももう時期向こうに行ける。傷も痛くないし、もう何も感じない。
「不死川……行こう……」
「……っ」
何であなたがそんな顔するんだろうか。
「すまねェ…」
彼女を抱え、無一郎の隣に彼女を寝かせた。
「……絶対…………勝ってくださいね……」
その言葉を最後に、彼女は息を引き取った。