第5章 素直じゃない[○我妻善逸]
あの早退の後、善逸から物凄い大量のメッセージが来た。
全て見終わってから簡易的に返事をし、携帯を閉じた。
なんかその後家に来たみたいだけど、会いたくなかったから留守だってことにしてもらった。
バレてるだろうけど。
1週間ぐらい学校を休んだけど、バイトは行っていた。
店長に心配掛けさせたくなかったから。
新作を作ってる時、善逸との会話を思い出した。
食べに来ないかな。なんて淡い期待を寄せていたが、避けているのはこっちなので食べに来るはずがなかった。
「あらちゃん、今日も迎えは来ないの?」
「まぁ…はい……」
学校に行けるようになって初めてのバイト。
店長は心配そうな感じで、頬に手を当て首を傾げた。
「あの髪の毛が黄色い子よね?1回新作食べに来たわよ。美味しいって褒めてたわ。あなたが考えたって教えたら、嬉しそうな顔してたのよぉ」
食べに来たんだ。私が休みの日かな。
「何があったかは分からないけど、仲良くね」
じゃ、お疲れ様。と言って、私は店の外に出された。
暫く歩いていると、誰かに着けられてる感じがした。
不審者かと思って、早歩きで歩くと前から知らない男の人が出てきた。
「ねぇこの子?」
「そう、その子よ。好きにしちゃって構わないから」
あの女子生徒がいた。
という事は後ろに着いてきてるのもこの女の仲間。
汚いなぁ本当に。
「あなたの幼馴染は来ないわよ。足止めしてあるから」
「……」
「じゃ、後はよろしく〜」
女子生徒が去った後、男は私の腕を強く掴んだ。
抵抗したけどビクともせず、後ろから来た男も私を逃がさんとばかりな雰囲気を出していた。
路地裏に連れて行かれ、ガラクタの山へ投げられた。
痛さで顔を歪ますと、男は私に近付いてきた。
「どーする?好きにしていいってよ」
「決まってんだろ。俺が先な」
「へいへい。じゃあ俺抑えてるわ」
1人は私の後ろに回り、暴れないように手を拘束した。
もう1人はベルトをカチャカチャといじっていた。
やだ、怖い。誰か助けて。誰か……!
「助けて……善逸……!!」