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善い愛し方と悪い愛し方

第4章 飴[○不死川実弥・宇髄天元]


「悪かった、本当に」

「そう思ってるならどいてくれます?」




放課後、HRも終わり職員室に戻ると
宇髄先生は通せんぼするかのように私の前に現れ謝ってきた。



正直言って邪魔だ。



「……俺の事怖いか?」



なんでそんな顔してるの聞いてくるのか。
怖いからあんな事をしてしまったわけで。

たぶん、怖いのはこの人自身じゃない。
アイツと重ねてしまうから。



「そう思うならそうなんでしょう。
退いてください」

「怖がらせないようにする。
何が嫌か教えてくれねぇか…?」

「今のあなたの行動が嫌です」



そう言い、横を通った。

あなたのその変な行動のせいで生徒の間で変な噂が立ってるんだよ。あなた自身なんて答えてるかは知らないけど、否定するこっちの気持ちにもなって欲しい。疲れるから。




「カナエ先生、昼間はすみませんでした…」

「先生は悪くないわよ。
またなにかあったらいつでも言ってね!」

「とりあえずお札仕舞いましょうか……」



それにあの人は人間だからお祓いは出来ないと思う……。
何か取り憑いてたらできると思うけど。



机の引き出しを開けると、不死川先生から貰った飴が何故か3個入っていた。



「あ、それ不死川先生が入れてたわよ」

「……直接渡してくればいいのに」

「ふふっ」




抹茶ラテ味の飴。
先生が飴を舐めてるのも意外だったけど、こういう味が好きなのも意外だった。

袋から出し、口に含みコロコロと転がす。
抹茶ラテの味が口いっぱいに広がり、昼間のことを思い出した。



泣きたくなったら俺のところに来いって言ってたな。
何でそんな事言ったんだろう。

ただの同僚なのに。
あの人なりの優しさなのかな。
その優しさを弟くんに出せばいいのに。




でも、嬉しかった。
この気持ちだけは嘘じゃない。
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