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善い愛し方と悪い愛し方

第4章 飴[○不死川実弥・宇髄天元]


「だからっ!」




しつこく宇髄が聞いていて、カナエ先生がそれを止めても無視をして聞き続けたからアイツが怒った。

怒ってるところは見たことあるが、ここまで怒ってるところは初めて見た。



「……すみません、少し頭冷やしてきます」

「あ、おい!」




逃げるように職員室を出てったを、宇髄は追い掛けようとした。それを止めるように俺は席を立ち、アイツを追い掛けた。

勘が鋭いのも困る。分かってしまったから。
アイツがなんで宇髄の事が苦手なのか。
あの傷の理由はなんなのか。




「……何で先生がそんな顔するんですか……」

「人の秘密を知っちまったから…」

「………ははっ…」



軽く笑ったあと、は涙を流した。
その涙を誰にも見られないように、抱き締めた。



「何で追い掛けてきたんですか………」

「さぁな……」

「何で抱き締めるんですか………」

「さぁ…」

「…………穢れてますよ」

「アンタは穢れてなんかない」



穢れてるはずがない。頼むから自分をそんな風に言うな。
アンタは消えない過去と戦ってきたんだ。

授業のチャイムが鳴った。




「………私行かなきゃ………」




涙を拭きながらそう言った。
次は空きコマだった。




「俺が変わりに行く。
アンタはまだここにいろ。授業終わったら様子見に来るから」

「え、でも……」

「いいから。今は休んどけ。
これでも食っとけ」




ポケットから手のひらに飴を乗せた。

何か言いたげだったが、気付かないふりをして準備室を出た。
職員室に戻ると、悲鳴嶼さんがいた。




「は……大丈夫か」

「落ち着くまで準備室にいさせてます。
次アイツの授業だから俺代わりに行ってきます」

「そうか、ありがとう」




菊組に行くと、なんで先生なのかとかブーブー文句垂らす奴が案の定多かった。




「先生の方が良かった………」




黄色い頭のやつがボソッと言ったが、俺の耳にはしっかりと届いていた



「何か言ったかァ……?」

「ヒッ!何も言ってないです!!」




ビビるくらいなら文句言うな!!
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