第3章 復讐の糸[☆童磨]
無限城一角、童磨は鬼の始祖、鬼舞辻無惨に呼び出された。
「お呼びでしょうか!」
薬の調合をしている無惨に、童磨は笑顔で聞いた。
無惨は手を止めることも童磨の顔を見ることもなく、
冷たく言葉を放った。
「貴様、人間の女を。しかも柱を生かしているらしいな」
「はい!」
「なぜ殺さない」
その質問に童磨は口篭った。
自分の気まぐれだと言ったら、彼が怒り狂うと思っていたから。
「ある程度太らせてから食おうかと。
あの娘は細すぎて美味しく食べれる部分が少ないのです!」
「私に嘘をつくというのか」
ビリッとした雰囲気に怖気付くこともなく、
表情を崩さずに童磨は言葉を続けた。
「嘘だなんてそんな!」
「ならその女を私の前に連れてこい。
柱ならば鬼にしても強さは変わらない」
「………それはどうでしょう〜」
あの娘を鬼にされたら困る。そもそもこのお方の前に連れていくことすら難しいのに。
「なら私が直接その女の所へ行く。貴様はそれまでここにいろ。
出ることは許さない。」
「………………承知しました!沢山可愛がってあげてください!」
無惨が消えたあと、童磨は焦りを覚えていた。
あの目は自分のモノにするという目だった。
俺の所有物の証が沢山着いているあの体を見た時、無惨様は娘を殺してしまうだろうか。
困るなぁそれは。漸く手に入れた娘なのに。
昨日も抱き潰したから今は眠っているんだよ。
あの声が聞けるのは俺だけだと思ったのに。
している時だけ俺を求める娘が良かったのに。
もう俺じゃなくて無惨様を求めてしまうのかぁ…。
心の臓がキュウと締め付けられる感覚がした。
こんな気持ち初めてだ。