第11章 あなたと[〇宇髄天元]
「できたぞー」
「!」
本に集中しているを呼ぶと、嬉しそうな顔をして席に着いた。
「いただきます」
が食べる様子を頬杖をついて見る。
言葉には出さないが、音と表情からして美味いことが分かった。
初めてにしては上出来だと思う。
材料はが用意していたから困らなかったが、味付けは慎重にやった。
いつも美味い飯作って貰ってるから、たまにはこういうのもいいと思った。
煉獄には明日さつまいものお菓子でも持って行ってやろう。
「……なんですか?」
「いつも美味い飯ありがとな」
「………当たり前です」
照れてんのも可愛い。
口いっぱいに頬張ってんのもハムスターみたいで可愛い。
もう全てがド派手に可愛い。
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毎週金曜、あいつはいつも生徒会室で勉強をしていく。
家でやればいいと言ったところ、ここが一番集中できるからだと。
俺も部活があるので顔を出しにはいけないが、時間を見て様子を見に行くことはしている。
自販機で買ったであろう紙パックのジュースを飲みながら勉強をしている。
万年学年1位の理由がここに詰まってる気がする。
まぁ……1位なのは美術以外だけどな。
「画伯すぎる……!!
でもそんな所も派手に可愛い!!」
提出された絵を見てそう叫ぶ。
竈門並ではないが、の絵もかなりの画伯だ。
アイツ並みの不気味さはない。
ただ軟体生物を生み出すくらい。
海中生物だろうが人間だろうが必ずウインクしてるし、何故か仁王立ち。
友達の似顔絵を描く授業じゃ、頭に沢山リボンを描いていた。
後から理由を聞けば、可愛く描いた方が相手のためだと。
試しに家で俺を描かせてみたら、途中で嫌になったのか紙をクシャクシャに丸めてゴミ箱に捨てられた。
地味に傷付いた。
頭が良くて料理ができても、絵だけは苦手なのがこれはまた可愛い。