第11章 あなたと[〇宇髄天元]
4限目の終了のチャイムがなり、昼休みの時間になった。
宇髄は嬉しそうに職員室へ戻り、冷蔵庫に入れていた弁当箱に手を伸ばす。
「今日も手作り弁当か?」
「そー」
蓋を開けると、可愛く詰め込まれたおかずとご飯があった。
携帯を取りだし写真を撮り、レンジで少し温める。
と一緒に暮らし始めて暫くした頃、宇髄の昼ご飯の内容を知った彼女は信じられないという顔をし、お弁当を作ることにした。
宇髄は嬉しさのあまり毎日写真を撮り、保存している。
勿体ないから一生食べないと言ったところ、腐るから食べてくれと言われたので食べることにした。
「今日も派手に美味ぇ…」
「彼女か?」
「そーだよ…彼女だよ。
一緒に暮らしてんだよ……卵焼きが染みる……」
「いつもうまそうだな!
たまには君が作って彼女にプレゼントするのはどうだ!?」
煉獄のその提案に宇髄は同意し、今日の晩御飯は自分が作ろうと考えた。
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「え?」
「そっ、だからお前は地味に本でも読んで座ってろ」
「いやいいですよ、私作るんで」
この男は突然なんだ。
帰ってくるなり今日の夕飯は俺が作るって言い始めた。
もうご飯の材料は切ってあるし、あとは作るだけなのに。
「何作る予定だったかだけ教えてくれれば」
「煮込みハンバーグですけど。
作れるんですか?」
「派手に任せとけ。
はい座った座った」
ソファに座らされ、読みかけの小説を渡された。
仕方が無いので本を読むことにした。
暫くするといい匂いがしてきた。
先生の事だから、ド派手に行くぜとか言って調味料適当に入れ始めるかと思ったけどそうでもないらしい。
ちょっとだけ楽しみなのは黙っておこう。
(なんだアイツ、何であんなご機嫌なんだよ。
クソ可愛いじゃねぇか!!!)