第11章 あなたと[〇宇髄天元]
宇髄先生と一緒に暮らして始めてから半年が経った。
付き合い初めてからも半年だ。
最初は断ろうとした。
だけどあんな顔が近い状態で告白されたら、断ろうにも断れなかった。
だから承諾した。
そしたら嬉しそうに私を抱き締めて頭を撫でくりまわした。
そこからだ。
宇髄先生が私の反応を楽しむかのように、積極的に行動し始めたのは。
本当に心臓に悪いからやめて欲しい。
「ちゃーん、
んー、今日も派手に可愛いなぁ」
横から抱きついてスリスリしてくるこの筋肉ダルマは、呑み会に行っていたらしい。
さっき帰ってきた。
酒臭い。
「なーに読んでんのぉ?」
「ドラマの原作の小説です」
「なんで敬語なんだよぉ!!」
「めんどくさいからですよ」
そう言うと本を取られた。
あぁもう本当に……
「酔ったフリならもう少し上手くやれません?」
「バレてたか」
酒臭いけど顔は赤くないし、呂律もしっかりしてる。
多少酔ってはいると思うけど、ベロンベロンになるほど酔ってはいない。
騙せると思ったのかこいつは。
「なぁ?キスしねぇ?」
「しません、寝てください」
「キスしてくれたら寝る」
「嫌です」
「じゃあ俺からするからいい」
そう言って顔を近づけてくる宇髄先生。
手で顔を抑えるが、片手で捕まれてしまった。
「キスなんて沢山してるからいーだろ」
「沢山してるのでもういいですよね」
「まだしたりねぇからする」
「される度に平手打ちしてるのによくめげませんね」
「愛の平手打ち♡」
酒が回ってるから訳の分からないことを言うんだきっと。
いつも訳わかんないけど、今日はもっと訳分からない。
「ほら、ここにちゅーは?」
そう言って自分の唇を指さす先生。
自分からしろということなのか。
張り倒してやりたい。
「嫌です」
「なら俺からする」
「酒臭い!」
パシーンと乾いた音が響いたのはそういうこと