第5章 あーの曲耳から離れーなくなったんですけーど♪
「……忘れてたのに」
「そもそも、自分用に買ってきたのに食べれないとか意味わかんない。誰だよ、企画したの」
…………あんただろ
「とはいえ、どうする。こういうのは早めにやった方が良いとは思うけど」
「衣装も無くば、道具もない。アレをやるのが一番じゃない?」
「アレかぁー」
二人だけが成立している会話。何を始めるのかと横目に見ながら自分は自分で食事を取り食べ始めていると、二人が隣り合って座る。
そして、
「3,はい。クローゼットの中にはー、ダニが湧きやすい♪」「あ~⤴⤴」
「あ~知りたくなかった♪知りたくなかった♪知りたくなかったよ〜♪」
ゴンゴン♪ゴン♪ゴンゴンゴンゴン♪ゴン、ゴン、ゴーン♪
いきなり一糸乱れぬ動きで机を叩き出した二人の大人。
というか、待って、今。俺達食事中……。
「こらー、お前ら食堂でそれ歌うな。食欲なくなるだろうがロックオフ。」
「いやぁ、嫌なことは早めに終わらせたくて」「結構覚えてるもんだね」
俺達が思っていて、言えなかった言葉を平気で紡ぐ。今だけは貴方を救世主と呼ぼう。
「つーか、仮にもサッカー関係者だろ?足使え、足」「仮だけどな」「えー、じゃあ。リフティングとかする?あ、そこのディープインパクトと、武豊。サッカーボール貸して」
「「……………?」」
呼ばれたであろう二人は何のことか理解出来てないが、ボールを所望している事だけは理解して、投げ渡す。
それを器用にトラップで受け止め、振り付けを考え出す。
「おい、あいつ等は何を始めるつもりなんだ?」
渾名を賜った皇帝が此方に来て問いかける。
「さぁ、見てればわかるんじゃない?」
蜂楽がラーメンの麺啜りながら言う。
「カイザーの技は皇帝衝撃波なのに、何ですか?タケユタカって?」
「そんなんもっと知らねーよ」
後で調べよう。
調べた後、いつも主役気取りでいる皇帝に教えたらとてつもなく嫌そうな顔をして女史に詰め寄ったが、あっさり躱される。そんな一部始終を世一は見ることになる。