第5章 あーの曲耳から離れーなくなったんですけーど♪
アボカドは冷蔵庫とムシューダとタンスにゴンゴン、そしてオープンハウスのCMは定期的に摂取したい位好き。
「フフーフーンフフフ、フンフフフーン♪」
お風呂場で少し音のズレた鼻歌が響く。
「潔、潔、混じってる、混じってる」
「蜂蜜金柑のど飴がタンスにゴンゴンに侵食された」
「クソ〜!とうとう、俺の持ち歌までもタンスにゴンゴンに」
「ねぇー、玲王〜、あの曲頭で自動再生されるんだけど」
「考えるな何も考えないでいれば……駄目だあのダンスが思い出される」
「フン、ぬりぃ奴ら」
周囲の者が、頭を悩ませている姿を関心なさげに見る。サッカー界のゴルシ。
ゴンゴン、ゴン、ゴンゴンゴンゴン、ごん、ごん、ゴーン♪
「り、凛くん、今」
時光が言いにくそうに声を掛ける。明らかに今、無意識の貧乏揺すりがあの曲の効果音だった。
「……………チッ、」
それ以上その場にいた全員が声をかけることはなく、風呂場なのに冷たく、殺伐とした空気が流れていた。
「あーの曲耳から離れーなくなったんですけーど♪」
「へぇ~⤴⤴」
「やめて差し上げろ」
その後、タンスにゴンゴンブルーロックverとして、異常な再生回数を叩き出す事になるのを誰も知らない