【MHA】【轟焦凍】【R18】sleepingbeauty
第1章 待っていたら微睡みの中
そう不思議に思いながらも、隣で寝ている轟くんが珍しくて、静かに彼の顔をじっと覗き込む。
彼の閉じた瞼から生える睫毛は長く、火傷の後なんて気にする必要がないくらいきめ細やかな、綺麗な肌。
「(…これは、狡い)」
ツートンカラーの前髪がサラサラ揺れて、それを照明が綺麗に照らす。そこら辺の女性顔負けな轟くんの端正な顔立ち。これは他の人が見ても見蕩れてしまうだろう。
現に私も、彼の姿を見て目を離さずにはいられない
そんな、まるで彫刻のように綺麗な彼が直ぐ隣にいる。すぐ隣で、触れられる距離にいる。私はそんな轟くんに、触れてみたい、という欲求が湧き上がる。
ゆっくりと、慎重に…起こさないように彼の頭上に自分の掌を乗せる 優しく彼の頭を撫でながら、ふわりと柔らかくきめ細やかなその髪を指先で拾い、そのまま流れる様に彼の頬に触れる。
「綺麗」
案の定、彼の頬と柔らかく滑り落ちそうなほど綺麗な肌。そして寝顔と共に、頬から手のひらへ伝わる温かい体温に、思わず私は口を零す
「…ん、」
「っ!?」
瞬間、轟くんの眉がぴくりと動き、私は慌てて手を引っ込める。途端に彼は肩を揺らし、ゆっくりと顔を上げた。
「、…?帰ってたのか」
「あ…うん」
目を擦り、目覚めたばかりか朧気な顔で彼はこちらに顔を向ける。私はソレに、先程まで彼に触れていたのが恥ずかしくなってきて、思わず目を背けた。
「(どうしよう)」
轟くんに触れていた私の手のひらが名残惜しさを感じる程、まだ温かい。まだ触れていたいと言うみたいに。
…いや気のせいだ、人肌に触れるのが久々だからそう思うだけだ、しっかりしろ。