第1章 アリア
(私、何やってるんだろう···)
ヴィクトルに頬を撫でられてあやされて···。
ここに来たのも勇利に嫉妬して普段飲みつけない酒を飲んで、来ちゃったわけだけど。
優しく甘く微笑むヴィクトル。
ヴィクトルは勇利のコーチとして日本に来ているだけだし、ヴィクトルだって疲れてるからこんな事をしたい訳じゃない。
ないんだけど勇利といつも一緒で、心のモヤモヤがちょっと溜まりすぎてしまっただけなんだ。
「···ごめんなさい。部屋に帰る」
こんな私は知られたくない。
グッと体を起こそうとしたけれど。
「Why?何故?泣いてるをそのまま帰す訳には行かないよ。俺の部屋に来たくらいなんだから理由を聞いても良いよね?」
瞬間、ヴィクトルの腕が私の腰に絡みつき、抱き締められて顔が一気に近づいて鼓動が跳ねた。
「わぁ!ちょっと···」
「が話してくれるまで、俺は離すつもりは無いよ」
「ほら」と促すように囁かれる。