第1章 やきもち
「へぇ…」
そんな俺の不機嫌な声に
気付くこともなくこのみは
部屋に入るときれいなワンピースに
着替えて楽しそうに鼻歌を歌う…
「そんなに楽しみなんだ…?」
そう言ってこのみの顔を
見つめると…
「そんなことないけど…
なんかね…
彼女と別れて落ち込んでるみたいで
愚痴を聞いて欲しいみたい笑」
なんて更に
聞きたく無い情報を耳にして
行かせたくない気持ちが
むくむくとさらに湧き上がってくる…
だから咄嗟に
「じゃあ…そろそろ行くね?」
そう言って玄関に向かうこのみの背中に
わざとらしくゴホゴホと苦しそうに
咳をした…