第9章 隠してる気持ち
深澤side
今日は〇〇ちゃんの誕生日で
きっと今頃佐久間と二人で
お祝いをしてる…
そうわかってても
"誕生日おめでとう"
そう直線伝えたくて
家に押しかけた…
笑顔が見れたらそれだけでいい
そう思ってたのに
扉の向こうから現れたのは
涙でまつ毛を濡らした顔で
俺が見たかった笑顔とは程遠い…
俺が彼女に初めて会ったのは
佐久間に招待されて
この家でご飯を食べた日で…
佐久間にだけ向けられる特別な笑顔が
とても可愛かったのを覚えてる…
それからたまに家にお邪魔して
一緒にご飯をたべるようになって
気付いたら君の笑顔の虜になってた…
別に佐久間から奪いたいとか
そんな大層なことは思ってなくて
ただ笑顔を見ると気分が良くなるから
だから何かしら理由をつけては
定期的に会いに行くようになった
だから今日も
君の笑顔を見たかっただけなのに
悲しそうな顔で
無理して笑う君を笑顔にしたくて
用意しただけで
渡す気もなかった誕生日プレゼントを
君に差し出してしまった…汗