第9章 隠してる気持ち
「突然来てごめんね…今日佐久間は?」
そう言って私の顔を不思議そうに
見つめる深澤くんから
顔を逸らし
「今日は…友達とご飯食べに行くって
さっき出かけたところだよ笑」
そう下を向きながら答えると
「そうなんだ…
佐久間に借りてた本返そうと思って
持ってきたんだけど
タイミング悪かったな…笑
でも今日って…
〇〇ちゃんの誕生日じゃなかった?
前に佐久間がそう言ってた気がするけど…
だから今日なら家にいるかと思って」
そんな深澤くんの言葉に
胸がギュッと締め付けられる
だけど
いつもみたいに顔に笑顔を貼り付けて
「よく覚えてるね笑
でも誕生日とか毎年くるものだし…
そんなに重要じゃないんで…笑」
そう言って笑うと
深澤くんは重たそうな漫画の入った紙袋を
玄関に置き
「お誕生日おめでとう」
そう言って小さな箱を袋から取り出し
私に向かって差し出した…