第1章 やきもち
苦しいぐらいの沈黙の後
ななは振り返って
「私の好きな人知りたい…?」
なんて
俺を真っすぐに見つめて言う…
「うん…」
そう言って
下を向く俺の頬に手が触れて
ななの顔が近付く…
「蓮…だよ…」
そう俺の名前を呼んで
ゆっくりと俺の唇に
ななの唇が触れて
黒く淀んでたはずの胸の中が
真っ白に染まっていく…
短いキスの後
恥ずかしそうに
"じゃ…"
なんてまた玄関に向かおうとする
ななを捕まえて
「帰すと思う…笑?」
そう言って
抱きしめた腕の中
「好きだよ…?」
そう耳もとで囁くと
ななの耳が真っ赤に染まっていく
そんな幸せな光景をずっと見ていたいから
これからは毎日
君にたくさんの好きを
飽きるほどに伝えていく…
〜目黒さんの場合〜