第1章 やきもち
「好きな人って…何突然…?」
覚悟を決めたはずなのに
俺の言葉にわかりやすく動揺するななの顔に
グラグラと地面が揺れる…
「こないだ一緒に飲んだ時
酔って泣いてたよね?
気持ちが伝わらないって…」
友達でなんかいたくない…
誰にも渡したく無い…
そう痛いほどに思ってるのに
「あれは…ちょっと飲み過ぎちゃって…
でも…好きな人ならいるよ…?
でも蓮には関係ないよね?」
そんなななの言葉に
胸がギュッと締め付けられる…
「今日はもう帰ろうかな…」
そう言って玄関に向かうななの手を
掴んで
「帰さない…」
そう言って後ろから抱きしめると
ななの口から小さなため息が聞こえてくる…
「私…好きな人がいるって言ったよね…?」
そんなななの言葉に
耳を塞いで
「好きだ…」
そう自分勝手に想いを伝える…