第5章 保健体育
「そんなの恥ずかしすぎて死んじゃいますよ!」
木茂山「わかってる、だから誰も来ないような倉庫で資料作りをするんじゃないか」
「ちが、資料を作ること自体がです!」
すでに資料を作ることは決定事項のように言ってくる。そんなこと誰も了承していないのに、と思っていると、木茂山先生は保健体育の先生を助けると思って、と言ってくる。
他の先生のことを話に出すのはズルい。断れなくなってしまうではないか。
「・・・・顔は?」
木茂山「出さないに決まってるだろう」
「私だってバレないようにしてくださいよ」
木茂山「わかった、協力ありがとう」
本当はとても嫌だが仕方がない。保健体育の先生のためだと自分に言い聞かせていたが、木茂山の思惑は違ったようだった。
木茂山「(保健体育の先生に言われてるなんて嘘に決まってるだろ。お前は俺の毎晩のオカズになるんだよ)
じゃあセッティングするから待ってろ」
木茂山先生は持ってきていたカメラやスマホを何台か三脚に取り付け始める。本当に撮るんだと心臓が爆発しそうだ。
元彼とも何度も身体を重ねてきており、その行為自体には抵抗はない。しかし、担任の先生の目の前で身体を曝け出すなんて。
そう思っているうちにセッティングが完了したようだ。
体操用マットが敷かれ、その周りにはカメラ。
きっとあのマットがいわゆる舞台なのだろう。
木茂山「ほら、マットの上に行って」
「はい・・・」
おずおずとマットの上に乗った。
木茂山「じゃあ、制服だと友だちにバレちゃうかもでしょ。脱いでからカメラ回すから、裸になっちゃって」
いきなりか、と思ったがそれもそうだ。保健体育の資料が自分たち生徒の中にいるとわかったら「一体誰なんだ」と犯人探しのようなものが始まってしまう。
恥ずかしいが脱ぐしか無い。
スル・・・と制服に手をかけ脱いでいった。
木茂山「(グフ、もう録画は始まってるんだけどね)」
制服を脱ぐことに集中していた私は、木茂山先生がニヤニヤしていたことに気づいていなかった。