第3章 復帰ライブ
楽屋のドアを開けたら、本当に居た。
ともちんの言葉を疑ってたわけじゃないけどちょっと夢見心地だった。
「澪…」
『あっ、に〜ちゃん久しぶり…私のこと、覚えてる?』
「忘れるわけないらろっ!おれをなんだと思ってるんら!」
「に〜ちゃんとっても嬉しそうですね♪に〜ちゃんの分の紅茶もあるのでどうぞ〜」
「創ちんありがとう、ちょっと喉乾いてたから助かったぞ♪」
創ちんから紅茶を受け取って、澪の方を見たら光ちんが自己紹介ついでに色々聞いてた。
澪のお父さんは光ちんが推しで、お母さんは創ちん推しらしくて
二人の間にいる澪はちょっと困ってる。
…おじさんたち、いつの間にアイドル好きになったんだ?
ずいぶん昔に会った気がする澪の…叔母さん?はともちんに話しかけてるし
おれの両親は颯爽と帰って行ったし…
そう言えば澪は誰推しなんだ?
「ね〜ちゃんは“Ra*bits”だと誰が好きなんだぜ?」
『私?私は…に〜ちゃん推し、だよ』
「に〜ちゃんの幼馴染ですもんね。ぜひ小さい頃のに〜ちゃんの話、聞かせてください」
「ともちん!?なんれこと聞いてるんらっ!」
「に〜ちゃんの昔話、ぼくも知りたいです〜」
「創ちんまで!?」
『え、いや…に〜ちゃんは今とそんなに変わってないですよ?』
それはそれでどうなんら…?
おじさんとおばさんも頷いてるってことは、おれはほんとに変わってないのか?
『あぁ、でも…昔と違ってに〜ちゃんはかっこよくなってますよ』
「うんうん!オレたちのに〜ちゃんだから当たり前なんだぜ!」
「可愛いだけじゃなくてかっこいいところもに〜ちゃんの魅力です♪」
「おっ、お前りゃっ!褒めてもにゃにもでにゃいぞ!」
「いつにも増して言えてませんよ(苦笑)」
それから、会っていなかった三年が嘘みたいにたくさん話した。
細かいことは聞けなかったけど、あいつの笑顔が見れたからそれで充分だ。
創ちんも光ちんもすっかりおじさんとおばさんに懐いて
ともちんも少しずつ打ち解けてきた。
みんなが澪に懐いたのは少し複雑だけど…
スタッフさんに怒られるまで、ずっと話し続けた。
不思議と話題は尽きなかった_____。