第3章 復帰ライブ
ともちんたちが頑張ってくれたからおれの復帰ライブを開催することになった。
まだおれは“Ra*bits”のに〜ちゃんでいてよかったんだな…
おれのいない間にみんなは成長してたから正直ついていくのに精一杯だったけど、
大成功で終わらせることはできたぞ!
…あいつもどこかで見ていてくれたらいいな。
「に〜ちゃん!お疲れ様なんだぜ!」
「お前らもお疲れ様!おれ、ちゃんとできてたか?」
「もちろんです!に〜ちゃんはとっても可愛かったです」
「改めて、おかえりなさい。に〜ちゃん」
「えへへ、ただいま!」
「そう言えばさっきからに〜ちゃんのスマホが鳴ってるんだぜ!」
言われてみて気付いた。
確認してみれば母親からだった。
みんなに断りを入れてから折り返して連絡するとすぐ繋がった。
用件を聞いておれはびっくりした。
お礼を言って電話を切って、内容が気になっているようなみんなに話す。
「今日のライブに、おれの幼馴染が来てたらしい」
「えーっと、いつもに〜ちゃんが話してる女の子だっけ?」
「そう。そいつの親から連絡をもらったらしくて、おれにも知らせてくれたんだ」
「に〜ちゃん、会いに行きたいって顔してますよ」
「あとのことはぼくたちに任せてください!」
光ちんも頷いてくれてたから、みんなに甘えておれは探しに行くことにした。
あとで何か、お礼してやらなきゃな。
流石に居場所まではわからないらしいから、自力で探すしかないけど…
ライブ後におれが会場付近を彷徨いてると騒ぎになりかねない。
なるべく見つからないように、とは思いつつも人探しには向いてないな(苦笑)。
会場内を歩いていたらまたスマホに着信があった。
周りに誰もいないことを確認してからともちんからの通話に出る。
「もしもし?ともちんどうしたんだ?」
[今、に〜ちゃんのご家族の方とそのお友達の方が楽屋に来てくださってて…]
「楽屋に?おれに用があるのか?」
[ええ、に〜ちゃんの探してる方も来てくださって]
「なっ!?すぐそっちに戻りゅから、待ってるんらぞ!?」
[わかってます、創が紅茶淹れてくれてますからそんなに焦らなくても大丈夫ですよ]
電話越しでもともちんが苦笑いしてるのがわかった。
おれは来た道をなるべく早足で引き返す。