第4章 いつかの約束
「そっか。ありがとな、薫ちん。実は告白する決心がついたのは薫ちんが星奏館でおれに声をかけた時なんだ」
「あの時なの?ならなずなくんに話しかけなければよかったなー」
「あはは、そういうと思った。薫ちんは不本意かもしれないけど、おれは感謝してるんだ♪」
「二人が幸せならそれでいいってことにしてあげる。じゃあ俺はもう行くよ」
「わかった。またな、薫ちん」
何か声をかけようと思ったけど、
何と言おうか考えているうちにタイミングを逃してしまった。
とりあえず後ろ姿に頭を下げておく。
それからはアイドルの方たちに会わないまま先ほどまでいた会議室に戻ってきた。
「戻ったか」
「ああ。先に話しておきたかった紅郎ちんと薫ちんにも話せてよかった」
「鬼龍はわかるが羽風も?」
「薫ちんがおれに勇気をくれたから。あいつは不本意だろうけど」
「そうか。お前たちが話に行ってる間にこちらで今後の予定を考えてみた。もう少し調整は必要だろうが目を通してくれ」
『…蓮巳さんて仕事早いんですね』
「敬人ちんは仕事が早いうえに丁寧だぞ!」
『ほんとだ…細かく説明もついてて私でもわかる…』
「おれはこれで問題ないと思うぞ」
『私には難しいことはわかりませんが、これで大丈夫だと思います』
「ならばこのまま進めるとしよう」
『蓮巳さんもお忙しいはずなのにお仕事増やしてしまってすみません』
「いや、この程度気にするな。すぐに終わるから仕事が増えたとは思っていない」
『ありがとうございます』
「おれからもありがとな、敬人ちん」
二人そろって頭を下げると
頭上から「だから礼などいいと言っているだろ」と
少し不機嫌そうな声が聞こえた。
顔を上げて横を見るとに〜ちゃんもこちらを見ていて
目が合うと思わず笑った。
その間も蓮巳さんは不機嫌そうな目でこちらを見ていた。