第4章 いつかの約束
敬人さんのくれた資料に書かれていたのは、
発表までの段取りだった。
しばらくはこれまで通りアイドル活動をして
また四人の"Ra*bits"が定着したころに
に〜ちゃんの口から説明するという内容が詳しく細かく書かれていた。
私もに〜ちゃんもこれまでと変わらない日常に戻った。
変わったことといえば毎日連絡を取り合うようになったくらい。
そしてそのまま一つ季節を超えて"Ra*bits"の活動も軌道に乗ってきたころ、その日はやってきた。
とある生放送の歌番組。
そこで発表することになっていた。
黒須家は叔母さんも含めてテレビの前で見守ることになった。
全員が緊張した面持ちで"Ra*bits"の出番を待つ。
番組も終盤に差し掛かったころ、その時はやってきた。
歓声と拍手に包まれながら"Ra*bits"が登場した。
自己紹介を終え、司会の人と少し話す時間が設けられる。
「今日は仁兎くんから、お知らせがあるって聞いたよ」
「そうなんです。おれには幼馴染がいるんですが、そいつとお付き合いすることになりました!」
会場には驚いたような声より「おめでとう」という声と拍手が多く響いた。
息が詰まっていた私はその反応に安堵した。
「俺たちもお会いしたことがあるんですが、本当にお似合いの二人なんですよ」
「ね~ちゃんはとってもきれいで優しいんだぜ!」
「よく三人でもっとお話ししたいねって話してるんですよ」
なぜか途中からに〜ちゃんではなく私の話になっていて
恥ずかしさで顔が熱い。
「結婚じゃなくてお付き合いを公表することにしたのはなぜですか?」
「おれも最初は付き合ってることを公表するつもりじゃなかったんですが、結婚前提ならいつ言っても同じかなって♪」
その言葉に思わず飲み物を吹き出しそうになる。
え、結婚前提?いや初耳なんですが?
そうだったの?みたいな視線向けられても私も知らないよ…
祝福に包まれて"Ra*bits"のパフォーマンスが始まった。
頭は混乱したままだったけど、やっぱり四人のパフォーマンスはかわいい。
番組放送後のSNSでは先ほどのに〜ちゃんの話が話題になっていた。