第4章 いつかの約束
私は鬼龍さんに聞いたつもりだったけど何故かに〜ちゃんから自慢げに「そうだぞ!紅郎ちんの衣装はすごいんだ♪」と返ってきた。
『やっぱり。クラスメイトに写真見せてもらったりしてたのに変に怖がっちゃってすみません』
「慣れてるから気にすることじゃねぇ。それよりどこかにいくとこなんだろ?呼び止めちまって悪かったな」
「紅郎ちんにも話すつもりだったから気にしないでくれ」
そう言って私たちは“Ra*bits”の元へ足を進めた。
練習室にみんなはいるようでそこまで移動するのだけど
この建物…広くない?
迷子不可避すぎるんだけど…
広い上にドアも至る所にあり、自分がどこにいるのか全くわからない。
慣れってすごいんだな…と感心せざるを得ない。
見失わないように気をつけながらに〜ちゃんの後を追う。
「ここだ」と言われた目の前のドアからは微かに音が漏れている。
練習中だとしたらお邪魔になる…?と言う心配をよそにに〜ちゃんは普通にドアを開ける。
メンバーだから当然といえば当然なのだが。
「練習中ごめんな。ちょっといいか?」
「に〜ちゃん!今日はお休みじゃなかったっけ?」
「ちょっと話したいことがあってな♪」
「に〜ちゃん嬉しそうですね♪何かあったんですか?」
「あれ、澪さんもいますね。ろくにもてなせなくてすみません」
『急にお邪魔しちゃったのは私だから気にしないで』
「なんでね〜ちゃんもいるんだぜ?」
「実はおれたち、付き合うことになったんだ♪」
みんなのに〜ちゃんからの突然のカミングアウトに、
隠そうともしてない驚きで部屋が満たされる。
そのみんなのに〜ちゃんは楽しそうに笑ってる。
「えっと、まだ頭が追いついてませんが、に〜ちゃんも澪さんもおめでとうございます…?」
「お似合いのお二人ですね、憧れちゃいます〜」
「あはは、ありがとう」
「ファンのみんなは…どうなっちゃうんだぜ?」
「応援してくれる人たちが大切なのは変わらない。今まで通り誠心誠意おれの歌を届けるぞ!」
それでもまだ不安げなみんなに『みんなのに〜ちゃんを信じよう?』と声をかけると
案外すんなり納得してくれた。
やっぱり一番はおめでとう、なのね。
に〜ちゃんの居場所はきっとここにある。