第4章 いつかの約束
に〜ちゃんの後ろをついていくと、知らぬ間に着いていた。
壁にポスターある…
所属ユニットのポスターかな…?
「早かったな、仁兎」
「移動しながら連絡してたからな」
「…まぁいい。とりあえずこっちに来い」
ちょっと一瞬目があった気がするけど気を遣ってくださったのかな?
通されたのは会議室のような場所で、蓮巳さんと向かい合うように二人で座る。
先に口を開いたのはに〜ちゃんだった。
「敬人ちんならもうわかると思うけど、話したいことはこの子のことなんだ」
「だろうな。勿体ぶらなくていいから話せ」
「おれ、この子と付き合うことにしたんだ。そのことを報告しに来た」
これには流石の蓮巳さんも驚きを隠せないようで眉根を寄せた。
に〜ちゃんは気づいてるはずなのに気づかないふりをして話を続けている。
一通り話を聞き終えると頭が痛いとでも言うように軽く左右に振ってから再度こちらを見据える。
「今の仁兎の話に嘘はないな?」
『ありません』
「誰かに反対されて別れるつもりは?」
「ない」『ありません』
「はぁ…アイドルといえど、感情がないわけじゃないからな。上には俺からも掛け合おう」
「いいのか!?」
「どうせダメと言っても聞かないだろう、お前は」
「よし、なんとか第一関門はクリアだな!」
『蓮巳さん、ありがとうございます』
「礼を言われるようなことはしていない。それより“Ra*bits”のメンバーにこの話はしたのか?」
「まだだ。敬人ちんに話してからするつもりだからな」
「それなら早く行け。噂として広まる前にちゃんと伝えてこい」
一礼してから会議室を後にすると、背の高い強面の男性がに〜ちゃんに話しかけた。
見覚えがあるような気もしたけど、すぐにはピンとこない。
「仁兎。悪いな、聞くつもりはなかったんだが聞こえちまった。嬢ちゃんもおめでとうな」
「紅郎ちん!ありがとう。澪、そんなに怯えなくても紅郎ちんは優しいぞ?」
『分かってはいるんだけど、目の前にいるとちょっと迫力が…』
「嬢ちゃん、怖がらせてすまねぇな。俺は鬼龍紅郎、蓮巳の旦那や神崎と一緒に“紅月”ってユニットで活動してる」
『“紅月”の鬼龍紅郎…あぁ、もしかしてユニット衣装とか作ってる方ですか?』