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こちら、MOB飼育係5[ktkb]

第2章 きおきおニワトリ目線


「うううううっ……」
「ほら、泣いちゃったじゃないか、たいたい!」
「ええ……」
 とはいえ泣く程ではないが、俺の羽は怪我をしているし痛いものは痛い。どうするどうすると騒ぐたいたいと、周りに止血になるものはないかと探すおおはらで俺たちは何も出来ずじまいだ。俺はなんとか翼を動かそうとした。
 ガサガサ!
 音がしてびっくりした俺たち。たいたいは音のした方を振り返り、おおはらは……あれ、逃げたな。
 俺は怪我をしていてほとんど動けなかったのだが、何か大きな影で周りが暗くなって怖くなった。まさか、俺たちを牧場に連れ戻しに来たあの人間なのでは。
「怪我をしているじゃないか……!」
 けどそこにいたのは、全然知らない人間だった。牧場主にいたオスという性別の人間には見えたが、それ以外は何も分からない。ただその人間は、俺の目の前で低くなってこっちに手出してきた! やばいやばい! 俺ここで死ぬんじゃね?!
「きおきおー!」
 ガッと勢いよく前足を突き出したのはたいたいだった。たいたいはこんなに穏やかそうに見えて割と好戦的だ。俺はその隙になんとかたいたいの背中に飛び乗った。おおはらはどこにいるか分からなかったけど、まぁなんとかどこかで合流出来るだろう。
「たいたいさん、お願いしますっ」
「よし、捕まってろ!」
 なんとなく敬語になりながら俺が言うと、たいたいはそう言って走り出した。人間とはいえ、牛が猛ダッシュしたスピードには追いつかない。
 俺はちらっと後ろの人間を振り向いた。人間は追いかけようとはせずにこっちを見つめている。なんだろう……あの人間、牧場主とは全然違う気がした。
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